去年、ロス子ちゃんを預かったころ、度々見かけていた猫のことも気になり始めました。きれいなハチワレで
ソックスをはいた白黒ちゃんで、毎日夕暮れ時になると近くの空き地に姿を現していました。まだ若いらしく、
飛んでいる蛾にじゃれかかったりしていました。どこかの飼い猫かとも思いましたが、どうも飼われている様子も
なく、いつしか姿を見かけるとカリカリをあげるようになりました。他にもご飯をあげている人があるらしく、
缶詰が置いてあることも何度かありました。側に行くとしゃ〜〜っと威嚇するけど、カリカリを見せるとミュ〜〜ッ
とものすごく甘えた声を出します。でも、決して側には寄ってきません。ロス子ちゃんが無事里子に出たら、保護
して、馴らして里親を探そうかと思い始めた頃、その空き地にマンションが建つことになり、工事が始まりました。
白黒ちゃんは、横の公園から、重機がうなり、地面が掘り返されている空き地の様子を呆然と見ていました。
この時、バッグにまだカリカリが残っていたので、あげましたが、それがこの白黒ちゃんを見た最後です。
その後、私も入院してしまい、ようやく退院できた頃にはもうマンションの工事もかなり進んで、様子は一変して
いました。あれから一生懸命探すけど、まったく姿を見ることはありません。どこに行ったんでしょう。
どこかで幸せになっていて欲しいと願うけど、やっぱり心の底では気になって仕方ありません。
いなくなった猫はいつまでも心の中にいて、時々ちくちくを胸を刺します。
ついにお家に入れてやることができなかった。そう思うと、縁がなかったと言えばそれまでだけど、やっぱり心の
底でごめんね、ごめんねと言いつづけています。
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