S:今は餅つき機を使えばおこわも簡単にできるけんほんによか。ほらほらできたよ。
Y:(その声を聞いてガバッと起き上がり、走って食卓に)わわわわ、おいしそう。いや、おいしい。ねぇ、まだたくさん
あるよね。
S:自分の分を全部食べんうちにもう残りの心配かね。た〜くさんつくっといたけん、安心して食べなっせ。
Y:あるなら、また後でゆっくり食べられる。寝る前の夜食にしよっと。
S:ようお腹が破れんもんやね。病院におる時と大違いたい。
Y:もう病院はいかん。部屋に入っただけで気分が悪くなる。いくら先生の男前がよくてもいかん。
S:そうやって喜んで食べてくれるないば、またいくらでん作ってやろうかという気になるが、日本の男はそういうところ
がなっちょらん。
Y:お義母さんの世代はね。私より後んもんは、少しは違うよ。
S:そりゃそうだろ。昔はご飯を作りきらんおなごが嫁に行くっちゅうことはまずなかったもんね。あはは。
Y:それを言われたら返す言葉がございません。
S:あんたよかったねぇ。こういうやさしい姑で。魚のうろこもついとるかどうかわからんだったもんね。
Y:ははっ、まことにそのとおりでございます。が、魚事件はもうはるか昔の霧の中。。。もう忘れましょう。
S:いいや、生まれて初めてうろこつきの煮魚が出てきたとは忘れらるるもんじゃなか。
Y:・・・(あさっての方を向いて知らん顔をする。内心、明日はちゃんと作っていらぬことを思い出されないように
しなくてはと思う)
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